2011.11.15
10月26日~28日の白峰三山縦走のヤマレコです。
<1日目>
奈良田バス停横の無料駐車場に車を駐車。
夜間、奈良田に入る南アルプス林道は途中道路工事で通行止め。
夜間入り前泊する人は要事前確認です。
08:00 奈良田バス停より広河原行きバス(平日の始発便)に乗車
(※平日も休日と同じくAM6時で始発便を出して欲しい)
バスには紅葉を見に来たと仰る中年のご夫妻とソロハイカーが2名、
自分を入れても5人のみのバスはガラガラの状態。
そんなゆったりしたバスは、
紅葉スポットでは乗客のためにバスを止めて写真を撮らせてくれる
サービス精神旺盛な運転手さんでした。
08:45 広河原バス停着
09:00 北岳へ向けてハイクスタート
09:20 最初の分岐
大樺沢コースは登山道崩壊のため通行止め
選択肢なく白根御池コースへ
急登につぐ急登・・・、
25kgのバックパックを背負った登り出しの急登はさすがにきつい。
11:40 白根御池小屋到着
人気がまるでなし、お池もそれほどのものではなく、
ちょっと休憩してふたたび歩きだす。
14:45 北岳肩ノ小屋到着
山頂はすぐ目の前だが、ここまでですでに疲労困憊。
ここでテントを張ろうよ、と体が訴えていたが、
しかし2日目の長い行程を考えると
山頂向こうの北岳山荘に行っておきたい。
気合いを入れて目の前の山頂を目指す。
15:20 北岳山頂到着
雲ひとつない秋晴れ、360℃の大パノラマ、山頂ひとり占め。
ここまでの辛いおもいをいっきに発散。
広河原からここまでですれ違う人(下りてくる人)はいたが、
追い抜かれたり、追い越した人はゼロ。
この日、北岳の山頂に立った人は
自分を入れても5人くらいしかいないのでは?
と思うくらいに人が少なかった。
16:40 北岳山荘到着
やっとの思いで本日の寝床である北岳山荘テント場に到着。
ギリギリで落陽に間に合う。
富士山を眺め、甲府の街並みが一望できる絶景の場所に
本日のマイルームを設営。
<2日目>
05:15 起床。
なによりもまず夜明けの写真を。
テントの外で撮影を始めるも、強烈な冷え込みですぐにテントに出戻り
テントの入口にカメラを置いて顔だけ出して撮影するという軟弱者。
07:30 本日も快晴なり、
少し遅めのハイクスタート
テント場から中白根山まではいきなり登り。
3000m超での朝一の急登はすぐに息があがる。
08:00 縦走2座目の中白根山(3055m)山頂到着
歩きだしてまだ30分だが山頂ということで小休止。
中白根山はなぜ「白峰三山」に入れてもらえなかったのだろうか?
と、山頂で考えたりする。
09:05 縦走3座目の間ノ岳(3189m)山頂到着
間ノ抜けるほど広々とした山頂、
だから「間ノ岳?」などと山頂で考えたりする。
10:15 農鳥小屋到着、小休止
縦走2日目の宿にする方もいるそうですが、
北岳の山荘から3時間足らずの距離ということで、
微妙に位置が中途半端。
でものんびり歩く人にはそれもありかもしれない。
11:45 縦走4座目の西農鳥岳(3050m)山頂到着
下から見上げて歩いてくると、
何度も「すぐそこが頂上だ、ガンバロー」と騙されるような山の形状。
ようやくたどり着いた一番高そうな場所には標識もなにもない。
登山道からほんのちょっと外れてるから、
うっかりすると通り過ぎてしまいそうな山頂である。
そんな山だから農鳥岳より高いのに
「白峰三山」や「200名山」の座を捕られてしまったのだろう、
などと山頂で考えたりする。
12:30 縦走5座目の農鳥岳(3026m)山頂到着
今回の縦走最後のピークである。
思わず後ろを振り返って、
ここまで歩いてきた山々を眺めて感慨に浸る。
どう考えても「農鳥岳」の山名の由来がわからん、と山頂で考えたりする。
13:30 大門沢下降点到着
広々とした場所だが目印の「黄色い鐘」ですぐわかる。
この鐘は昔ここで下山道を見失い遭難死された方の遺族が
慰霊碑として建てたそうである。
たしかにここでガスっていたりしたら方向を見失うかもしれないような地形。
きっとこの「黄色い鐘」に助けられた人もいるだろう。
ここから次の目的地の大門沢までの降り時間を考えると、
ここに山荘があれば位置的にはちょうど良いのでは思ってしまうが、
同じようなことを考えて、ここでテントを張る人がいるようだけど、
ここでの野営は禁止となっている。
17:00 大門沢小屋到着
大門沢下降点からの道のりの長いこと長いこと。
下りで距離も短いからと甘くみるとたいへんである。
道は悪いし、ワンステップの落差が大きいから膝への負担も大きい。
東斜面で陽もまったく入らなくなった薄暗い登山道に苦戦しながら
ぐてんぐてんになってようやくたどり着いた。
小屋は今季はもう店仕舞いをしているので無人、
他にテントを張っている人もいないので、
今宵はここでうれしいひとりぼっちの世界。
名前のとおり小屋のすぐ脇は沢なので
天然の「南アルプス天然水」が飲み放題でもある。
キンキンの冷たい水でじゃぶじゃぶ顔を洗い、
手ですくってごくごくと飲み干す、旨いっ!
<3日目>
05:15 起床。
天然の「南アルプス天然水」で洗顔&歯磨きをしてすっきり。
07:00 今回の天空散歩の最後、下りのみのハイクスタート
山地図のコースタイムだと
目的地の奈良田バス停までは3時間20分とあるが・・・、
地図で見る限りそうたいしたことなさそうな下りに読めるのだが・・・、
大門沢から奈良田までのこの下りは曲者だった。
南アルプスの界隈は今年の夏の台風の影響であちこちでがけ崩れがおき、
登山道や沢にかかる橋もところどころ崩壊していた。
今回の行程では山地図に危険マークが1箇所あったが(北岳山頂直下)、
そういう危ないところは鎖やロープやはしごがしっかり整備されていて
手を離さない限り危険な目にあうことはない(手を離せばアウトだが・・・)。
今回の天空散歩で一番恐い思いをしたのがここからの最後の下り。
ひとつは崩落した崖のトラバース。
ほんとにここを横切るの?と疑心暗鬼で先を見ると
かすかに先行者の踏み跡がある・・・。
上を見ると直径1~2mはありそうな大きな岩が
ギリギリのバランスで引っ掛かっているだけで
今にも落っこちてきそう・・・。
先行く人が行ったなら、という意味の無い根拠で
意を決して渡り始めるが斜度が急すぎて
2点支持では立っていられない。
ダブルストックをピッケルのように斜面に突き刺し
3点支持を崩さないように。
そして振動を起こさないように慎重に、
ここで上から岩が転げ落ちてきても逃げ場がまったくない。
そーっとそーっと1歩1歩確実に歩く。
それだけ慎重にしていたにもかかわらず、
あと5mほどで渡りきるというところで
やっぱりというか半ば予想通りというか、
荷重をかけた足を滑らしてしまい体ごと滑落。
手に持っていたストックを地面にひっかけて
なんとか3m程の滑落で止まってくれたが、
止まらなかったら・・・と下方を見ると体中から脂汗が滲み出る。
ソロで人気のまったく無い山中で足でも骨折して動けなくなったら・・・。
ズリズリと滑り落ちては登りを何度も繰り返しながら
なんとか登り返して渡りきった。
今きた道を(道など無いが)振り返り、
上を見て、下を見て、あらためてゾッとする。
今後、こういう場面に出くわしたらどうするか?
遠回りでも体力的にきつくても、
崩れ落ちている崖の上を巻いて迂回すること。
もうひとつの恐い思いは、
上のトラバースのあと、安心してボーっとしていたのか、
気がついたら登山道を見失ってしまっていたのである。
あれ?いつから?と廻りを見るがぜんぜんわからない。
トラバースの時点ですでに見失っていたのかと考える。
自分以外にも同じように迷う人がいるらしく、
なんとなくかすかな踏み跡があったりするが、
その踏み跡をトレースしていくと崖の手前で途切れていたりする・・・。
いったん沢側に降りるもそれらしい道は見つけられず、
しかたなく山側に登り返し、さらに100mほど登って探すが見当たらない。
あと100m登って見つからなかったら沢沿いを歩いて降りるしかないと決めて、
100mほど登るがやっぱりそれらしい道を見つけられない。
しかたがないと諦めかけたその時に、ふわっと風が吹いた一瞬、
山側の向こうの木の枝先から、「幸せの赤いリボン」が揺れるのが目に入った。
さすがにこんなところで1時間も道に迷うとかなりブルーな気持ちになる。
「幸せの赤いリボン」を見つけた時の嬉しかったこと嬉しかったこと。
その後も崩れ落ちた丸太橋渡りや、足元スカスカの丸太橋、
滑ったら恐そうな急坂、あちこちにあるがけ崩れ、
地図で見る限りはなんでもなさそうな縦走路の後半に
これほどアクロバティックな状況が待っていようとは。
最後は、
「危険なので1人ずつ渡ってください」と注意書きのある
高所恐怖症の人には気の毒になりそうなほどの高さのある
スカスカ、グラグラの吊り橋を渡ればあとは安心。
11:30 奈良田バス停到着
標準タイムを大幅にオーバーしてようやく下界の世界へ。
重~い重~いバックパックを肩から降ろし、
これまた重い登山靴から足を開放してしばし放心状態。
カラッとした空気に日差しも燦々だったので、
車の屋根に湿ったシュラフを天日干し。
ついでにテントも組み立てて乾かそうかと思ったが、
そこまでの気力は無く、自分も地べたにゴロ寝。
真っ青な空を見上げながらふっと意識が遠くへ zzzzz・・・。
<番外編>
帰りがけに寄った「奈良田の里温泉」は
源泉42℃のかけ流し、少しぬるめのお湯は透き通っていてとてもきれい、
そして檜のお風呂がまだ新しく、檜の香りに包まれながらの
お風呂はとっても気持ちがいい。
ここでも温泉ひとり占めだったので1時間近く湯船につかって
ボロボロになった身体をリフレッシュ。
おススメの温泉です。